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「酒井家墓所」を一般公開へ

2019.10.5 荘内日報
整備・保存の振興会設立、入部400年の2022年目指す
 旧庄内藩主酒井家の歴代藩主らが眠る鶴岡市の「酒井家墓所」の整備、保存に取り組む一般社団法人荘内酒井歴史文化振興会(酒井忠順代表理事)が設立された。江戸時代の歴代藩主の墓がそろう墓所は全国的にも珍しく、墓石の造りも含め歴史的に貴重な史料とされており、同振興会は酒井家第3代忠勝の庄内入部から400年の節目となる2022年4月からの一般公開を目指す。
 酒井忠順さんが3日、鶴岡市役所で記者会見し、振興会として取り組む事業の概要を説明した。墓所は同市家中新町の大督寺南側にあり、広さ約7270平方メートル。広大な墓所には、徳川四天王の筆頭とされる初代忠次から第17代忠明さんまで、歴代の藩主・当主とその夫人らの墓がある。
 庄内藩ゆかりの松ヶ岡開墾場や荘内神社の関係者や有志らが7月のお盆の時期や8月の荘内大祭の前などに、草刈りのために墓所内に立ち入ることはあるが、一般向けに公開はされていない。道路に面した墓所の扉も普段は閉められたままとなっている。
 城下町鶴岡の歴史を伝える文化遺産を次代に継承し、新たなシンボルとして整備、公開しようと、先月25日に振興会を設立。名誉会長に墓所を所有する酒井家18代当主の酒井忠久致道博物館長(73)が就き、第19代で同博物館副館長の忠順さん(45)が代表理事を務める。今月1日付で忠久さんと振興会が墓所管理に関する賃貸借契約(無償)を結んだ。
 振興会は今後、企業など法人や個人の賛助会員を募り、定期的な草刈りと清掃、墓石の保存・修復、歴代藩主の経歴や功績を紹介する看板や案内板の設置、外観整備、防犯カメラ設置などを進める計画。一部の藩主の墓石には、中国四神の一つ玄武に由来する亀に似た台座が使われている。中国の皇帝が位の高い家臣の墓石への使用を許した習わしを、江戸時代の徳川家が踏襲したものと推定され、会見で忠順さんは「貴重な史料であり、公開への重みを感じる」と語った。
 会見では、皆川治市長が市の酒井家入部400年記念事業(仮称)についても説明。本年度中に関係者による実行委員会を立ち上げる考えを明らかにした。
2019-10-05 荘内日掲載記事より