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未来につなげるために

思い返せば子どものころからそうだった。テストで頑張って良い点数を取っても「酒井家だから当然」、悪い点数を取ろうものなら「バカ殿」と呼ばれる。そのバカ殿の一般的なイメージは志村けんさん演じるバカ殿様なのだろうか。色白のかわいい男の子だったから?子どものころはそう呼ばれるのがとても嫌だった。

今なら刀を抜いて期待に応えるだろう。バカ殿様を演じて笑いに変える自信はある。ひたすら滑るかもだけど。ひとつのバラエティ番組として検証してみると、バカ殿様の周囲は何だかとても楽しそう。とにかく明るくなれるのだ。人気の長寿番組となっているゆえんだろう。

以前、私は一部の人たちから「若殿」と呼ばれていた。時々それが「バカ殿」と聞こえるときもあった。多分、各人の滑舌の問題だろう。最近、45歳は決して若くないという新事実(?)もあり、若殿と呼ばれる機会は少なくなった。ふむ、それはそれで寂しい。人間って複雑。

そして、今日に至っても世の物事全般は賛否両論。家族・親族含めて身近な方々は私を温かく見守り、賛同し応援してくれる。本当にありがたい。その反面、一部の方々は、何かやったら否定し、やらなくても否定する。

いったいどうすれば賛成してくれるの?物事の賛否は結局、表裏一体のものかもしれない。「そういう考え方もあるよね」と一意見として真摯に受け止めるしかないし、それらの賛否に必ずしも左右されなければならないという強制力もないだろう。人によって考え方や行動は異なる。人間だもの。これからは賛否をともにおにぎりのように丸く握り、懐に収めて、明るい未来を目指していきたい。

さて、今年9月、酒井家にとって大きな転機が訪れた。地域の歴史と文化、文化財の保存活用、次代への継承という大きな目標を掲げて、一般社団法人を新しく設立することを決意したのである。第一の課題は、歴代藩主が眠る約7270平方メートル(2203坪)の広大な荘内藩藩主酒井家墓所の整備・保存。そして、より多くの皆さまにお参りしていただけるように一般公開を目指す。

思い立ったが吉日。9月4日、致道博物館の寄付集めでご尽力いただいた致道博物館協賛会の実質事務局を担ってくださったメンバーと酒井家で打ち合わせ。法人設立の賛同を得た。定款を作成し、公証役場で定款の認証を受けて、司法書士に依頼し、9月25日付で法務局での法人登記に至る。スピード重視の怒濤の9月。

10月3日、鶴岡市役所での鶴岡市定例記者発表の冒頭で、酒井家庄内入部400年の記念の年となる2022年を目標に酒井家墓所を公開すること、そのための保存管理事業を担うべく「一般社団法人荘内酒井歴史文化振興会」を設立したことを公表する機会をいただいた。後日、新聞各紙で好意的に取り上げていただいたことは大きな励みになっている。

令和新時代の幕開け、今まさにスタートラインに立ったところである。さいは投げられた。これから一歩ずつ、着実に歩んでいきたい。地域を活性化させるのは若者とバカ者だという話をよく聞く。今こそ若殿・バカ殿の出番ではあるまいか。地域に希望の光をともしていきたい。ただ行動あるのみだ。

ジャストドゥイット。マイケル・ジョーダンに憧れた10代。あれから30年。時が流れるのは本当に早い。今できることを全力でしたい。後悔はしたくないが、公開はしたい。22年に向けて夢と希望が膨らんでいく。ご賛同いただける皆さま、地域の歴史と文化を未来につなげるために私とともに歩んでいただけませんか?

荘内酒井歴史文化振興会では法人・個人の特別賛助会員・賛助会員を募集しています。近々、クラウドファンディングにも挑戦します。温かいご支援を何とぞよろしくお願いいたします。

 2019年(令和元年)11月17日(日曜日)山形新聞 総合2面 日曜随想11-⑩