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急ぐべからず

致道博物館の美術展覧会場。昭和36年に開館した建物だが我々職員は今もなお「新館」と呼んでいる。その「新館」入口の左側壁間に銘盤が嵌め込まれているのをご存知だろうか。

「衆力結び成して功を竣う 昭和35年12月吉日」

これを揮毫したのは私の曽祖父酒井忠良である。

今回、この銘盤のことが知りたくて、館報致道第10号(昭和50年2月刊)を紐解いてみた。当時の犬塚又太郎館長がこの銘盤を説明されていた。以下抜粋。

…此の新館も、多くの方々が心も力も寄せ合って下さったから、出来たものに外なりません。然し此の銘語は、此の博物館全体の施設も資料も、そして運営万般にわたって、私共の心にこそ刻銘して欲しい、という公の真意では無かったろうかと、しみじみ思われてならないのであります。…

昭和25年春、致道博物館誕生の折の曽祖父の一言一句も紹介されていた。

「父祖先代の心は常に郷土全体の福祉にかけられて来た。私は其の心を承けたい」

「博物館は郷土全体のもの、一人二人の専有物であってはならない。自分も案外出来るぞと思ったら、もうお仕舞いだ。道は遠い、急ぐべからずである」

時を超えて辿り着いた曽祖父の言葉を深く心に刻み自戒したい。

 Bloom 2018.6 vol.76 知新-新しきを知る- 第5回