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新たな挑戦 良い習慣に

抜き足差し足忍び足。音を立てないように静か~にコッソリと。

わが家の毎朝の風景。私は朝4時ごろに目が覚める。近頃、早寝早起きを習慣にしている。子どもたちを起こさないように支度をするのだが、床に置いてあるおもちゃを踏んだり、ベッドの角にスネをぶつけたりと、まさに踏んだり蹴ったりの状況がたまにある。そういう時も声を押し殺して必死に耐えている。

さて、今回は「良い習慣」の話をしたい。「モノゴトを3週間継続すればそれは習慣となる」という説がある。それはまさに継続は力なり…である。早寝早起きは良い習慣の例として挙げられることが多い。「時間」はあらゆる人に平等に与えられているもの。早く起きることで、1日のスタートダッシュが切れることを日々実感している。朝5時~8時の3時間があれば大抵のことはやり遂げることができるといっても過言ではない(あくまでも持論)。「時間をかければ何にでもなれる」という言葉もあるが、自分の時間をいかに捻出して、その時間に何をすべきかを常に問いかけている。

最近、習慣とすべく心掛けていること。それは新しいことへのチャレンジ。小さいことから大きいことまで。挑戦する。それは、とても勇気がいることである。例えば、飲食店、美容室、イベントから美術館まで。未知の領域へ足を踏み入れる、新しいシステムを経験することを自分に課している。

先日上京の際、ヘアカット専門店(10分:1200円)に行ってみた。ドキドキしながら入店。待合席にちょこんと座っていたら店員さんが「チケット販売機で利用券を購入してください」と言う。あ、そういうシステムなのねと思いつつ利用券を購入。「お客さん、初めてですか?」と聞いてくる。何だ、その問いは?その問い掛けは必要なのか?とちょっとイラッとしたが、悔しかったので「いえ、2回目です」と言ってやった。2回目なのにうちのシステムがわからないのか?という雰囲気を出されたが、まあいいや。数分待って私の順番になって呼ばれる。

げげげ、担当はついさっき不毛なやり取りをした彼。利用券を渡してカットが始まる。余計な会話もなくそれはそれでスムーズ。洗髪もなくカットのみだから短時間で済む。終盤、「もみあげは自然にしますか?」と聞いてきた。「あ、はい」とは答えたものの、よく考えるとこれも妙な質問だ。「いいえ、不自然にしてください」とは決して誰も言わないさ。この質問がツボにはまり少し楽しくなった。このあと、自分のもみあげが自然かどうか気になる日々を送ったのだが。

話は遡るが、昨年12月の健康診断でメタボ予備軍に入隊した。自らの健康に危機感を感じ、以後、スキマ時間にジムに通う生活を続けている。定期的に運動するのがやっと習慣になってきた。

とにかく何事も健康のため、長生きするため、という錦の御旗を掲げているのであるが、早起きについて、家族に言わせれば、朝早くからドタバタドタバタ、何をしているの?というただ迷惑な話なのかもしれない。新しいことへのチャレンジ、定期的に運動することについては、新しい経験やジムに行くそんな時間があるのなら子どもたちと遊んで、子どもたちの面倒をみて…ということになるのかもしれない(いや、確実になる)。良い習慣のつもりが、何だか自分にとって「都合の良い習慣」へと置き換えられていくのであった。

それでも。良い(と思われる)習慣の積み重ね、費やした時間の集積がベースとなってより精度の高い自分という人間が出来上がっていくのだと信じる。願わくば、読者の皆様が致道博物館に定期的に足を運ぶことを習慣にしていただければ… などと不自然で都合の良い願望を告げて今日は幕を閉じます。

 2019年(令和元年)5月26日(日曜日)山形新聞 総合2面 日曜随想11-⑤