夢は広がる
国指定史跡松ヶ岡開墾場内の第一番蚕室、松ヶ岡開墾記念館の2階に知る人ぞ知る日本の土人形・土鈴の壮大なコレクションがある。大丸百貨店副社長はじめ東急百貨店社長等を歴任した松ヶ岡開墾士の末裔田中正佐氏が日本全国を巡って収集した郷土玩具コレクション。その数はなんと約2万5千点超。
江戸時代後期から明治時代、子どもたちの健やかな成長、病気除けや子授け、安産等に対する切実な願いを込めて、各地で玩具や人形の数々が作られた。それらは、日本各地の風土や暮らしの中から生まれ、郷土の伝説や信仰、美意識、幸福感を反映して、その土地ならではの味わいをもっている。
土人形・土鈴等の郷土玩具が収蔵展示という形で公開されているが、素朴な造形美と郷愁感に感動を覚えるのである。郷土玩具から始まる地方創生の可能性…。
今年は松ヶ岡開墾150年の記念の年。日本全国各地の特徴溢れる郷土玩具が揃う田中コレクションを活かして、松ヶ岡で「日本一の土人形館」を目指す。うん、夢は広がる。
Bloom 2021.4 Vol.92 知新‐新しきを知る‐第21回