珍しや
国指定名勝酒井氏庭園。その庭園入口付近に、松尾芭蕉の句碑があるのをご存知だろうか。
珍らしや 山をいで羽の 初茄子(はつなすび)
松尾芭蕉が「奥の細道」の鶴岡の旅路で詠んだ有名な句である。
鶴岡の俳人長沢千翅(せんし)が享保年間(1716~1736)に建てたと伝えられているこの句碑は、自然庵(鶴岡市本町三丁目・後に芭蕉庵に名称変更)の傍らにあったが、その後、湯田川温泉に移り、昭和60年5月に致道博物館に寄贈されて、現在は酒井氏庭園にある。芭蕉句碑の中でも年代がとても古く大変貴重なもので、面白いのはこの句碑、よくみると茄子の形をしているのだ。
さて、致道博物館は創立以来、多くの方々から美術品等の寄贈をお受けして今日に至っている。重要文化財の建造物群(旧西田川郡役所・旧鶴岡警察署・旧渋谷家住宅)も然(しか)り。それが博物館の博物館たる所以(ゆえん)であり、大切な役割である。
致道博物館は「珍らしや!」と人が驚く、銘品・珍品?を多数収蔵している宝箱なのだ。
Bloom 2019.2 vol.80 知新‐新しきを知る‐ 第9回