其の道を致す
鶴岡公園内の赤いドームと白壁が特徴の大宝館。大正天皇の即位を記念して大正4(1915)年に建てられ、現在は鶴岡が生んだ先人たちの偉業を讃える人物資料館となっている。
大規模修繕工事が完了し、いよいよ今春リニューアルオープン。記念の企画展では鶴岡の手仕事と職人たちの生涯を紹介する。御殿(ごてん)まりをよみがえらせた上野富美(ふみ)、花紋燭(かもんしょく)と呼ばれた絵ろうそくを復活させた富樫雄治(ゆうじ)、竹塗の技法を確立した阿部竹翁(ちくおう)、いづめ子人形を考案した大滝武寛(ぶかん)。職人が手間と時間をかけて作り出す温もりある工芸品の数々も展示する。
論語の子張第十九には「百工(はっこう) 肆(し)に居て以て其の事を成す(職人は仕事場で一生懸命励むことによって自分の仕事を成し遂げる)」とある。そして藩校致道館の名前の由来となった一文へと続く。「君子学んで以て其の道を致す(一生懸命勉学に励むことによって自然と人間の進むべき道が身についていくものだ)」。
今一度、自分の進むべき道を確かめてみようか。
Bloom 2019.4 vol.81 知新‐新しきを知る‐ 第10回